週刊シネマイモ

その日の映画、その日のうちに。

「ラ・ラ・ランド」を観ました。なつかしいのに、あたらしい。劇映画とミュージカルの間を絶妙に表現した至極のラブストーリー。とにかく劇場で観てください!

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何度もオーディションに落ちてすっかりへこんでいた女優志望の卵ミア(エマ・ストーン)は、ピアノの音色に導かれるようにジャズバーに入 る。そこ でピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会うが、そのいきさつは最悪なものだった。ある日、ミアはプールサイドで不機嫌そうに 1980年代のポップスを演奏をするセバスチャンと再会し……。(シネマトゥデイより)

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映画史に残るラスト、とはまさにこのこと。最高すぎて、とにかく観て!としか言えません。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、ラストの構成を思い付いた監督は、まさに天才的。このラストは、絶対に映画でしかできません。映画でしかできないミュージカル。それを作り出したディミアン・チャゼル監督の手腕には本当に脱帽です。

 

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好きな方には大変申し訳ないのですが、自分はミュージカルが苦手です。 舞台も含め、見ている間に寝てしまうこともしばしばあります。「レ・ミゼラブル」は、正直ほんとにキツかった。なぜ苦手かというと、 あまりに非現実的すぎるからなのかもしれません。各々が歌いながらセリフを言っているのとかを見ると、いやそんな歌って物事伝えるより ちゃんと喋った方が伝わるんじゃない? とか本気で思っちゃうし、え、なんで突然踊り出すの?とか、あまりに現実とかけ離れすぎていて、全く感情移入ができなくなってしまうんですよね。特にセリフを歌にのせて言われるのが苦手なのかもしれません。ラストにみんなで歌って踊るー!とかは結構好きなんですけどね。「天使にラブ ソングを」とか「座頭市」のラストとか。セリフを言うのか歌うのか、どっちかにしてほしいわけです。なので、本作を観る前は、これ大丈夫かなと心配していたんですが、どっこい最高すぎて驚愕しました。

 

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色んな方がおっしゃっていますが、本作はいわゆる「ミュージカル映画」ではないと思います。過去のミュージカル映画へのオマージュもたくさん忍ばせていながら、新しいことに数々挑戦している。どなたかも評されていましたが、「なつかしいのに、あたらしい」。まさにこの通りです。観ていると、「あれこの映画っていつの時代が舞台だっけ?」という錯覚に陥る時が何度かあります。スマホが出てきたり、車が出てきたりで、あ今だ、となるんですが、衣装や音楽、風景を見ているとどこか昔の時代の空気も漂っている。ここが本当にすごいです ね。いろんなアイテムや服の色合いもすごくカラフルで、スクリーンが色んな色で埋め尽くされます。

 

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車が渋滞する高速道路でみんなが歌い踊り出すオープニングも圧巻です。歌と踊りのシーンはすべてがワンカットに見えるような(ほぼほぼ実際ワンカットで撮っている?)映され方で撮影されていて、流麗なカメラワークにうっとりすること間違いなしです。また歌って踊ることが超得意なミュージカル役者を使わずに、俳優として評価 されているライアン・ゴズリングエマ・ストーンを主役にすえたところもこの映画の成功ポイントだと思います。踊り出したり、歌い出すまでの流れが本当にこの映画は自然 なんですよね。全く違和感を感じない。もはやミュージカル映画ではなく、れっきとした劇映画だとも言えるかもしれません。もちろん歌っ て、踊るんですが!

 

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あと細かいところですが、ジャズが嫌いだというミアを、セバスチャンがジャズバーに連れて行き、いかにジャズがすごいものかを語るシーン。このシーンほんと大好きでした。そのあとジャズに全く興味がなかったミアがどんどんジャズにはまっていって…というストーリーには感動すら覚えます。好きなものについて心から熱く語って、それが相手に伝わって、相手も好きになって…とい う、もうこの流れ最高ですよね。

 

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「セッション」でもそうでしたがとにかくこの監督の作る映画は熱い!熱量がすごい。ミュージカル映画ってこんなに素晴らしいんだよ!まさにジャズを熱く語っているセバスチャンが、監督そのものなんじゃないかとすら思えます。若干32歳、今後どんな名作を誕生させるのか期待しかありませんね。

 

そして「セッション」同様、ほぼ2人のメインキャストだけで見せきるのもすごい。この2人以外、あと誰が出ていたかあまり覚えていません。あ、でもジョン・レジェンドはめちゃくちゃ良かったです。

 

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日本のポスターのキャッチコピーにも観終わってから震えました。「夢をみていた」ってそういうことなのね!あー、つながった。ほんとにラストよかったなぁ…。ラストだけ観てもダメなんですよね、ほんとに。それまで観てきてるからこそ来るものがあるというか、あーもうほんとに観てくださいとしか言えない。

 

「セッション」に引き続き、人生の1本になること間違いなしの大傑作。

 

劇場で見なければ、絶対に後悔すると思います。是非、劇場でご覧ください。

 

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監督
デイミアン・チャゼル

キャスト
ライアン・ゴズリング
エマ・ストーン
キャリー・ヘルナンデス
ジェシカ・ローゼンバーグ
ソノヤ・ミズノ

★5.0(満点)