ひとりを越えてゆけ

映画、音楽、お笑い、国内旅行、温泉、食べ歩き、そして星野源 。いろんなことを褒めて、褒めて、褒めまくります。

「LION/ライオン ~25年目のただいま~」を観ました。実話モノとあなどるなかれ。無駄なく紡がれたシーンの数々と、役者の丁寧な演技が沁み渡る傑作ヒューマンドラマ!

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 インドのスラム街。5歳のサルーは、兄と遊んでいる最中に停車していた電車内に潜り込んで眠ってしまい、そのまま遠くの見知らぬ地へと運ばれて迷子になる。やがて彼は、オーストラリアへ養子に出され、その後25年が経過する。ポッカリと人生に穴があいているような感覚を抱いてきた彼は、そ れを埋めるためにも本当の自分の家を捜そうと決意。わずかな記憶を手掛かりに、Google Earthを駆使して捜索すると……。(シネマトゥデイより)

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Google Earthを使って、昔の記憶を頼りに二度と会えなくなってしまった家族と再会する涙涙の感動の実話モノ。…というのが、予告編を見ていた時の印象でした。この期待、いい意味で裏切られました。こういう実話ものっていくらでも話を盛ったり、主人公を辛そ~に見せたり、泣かせポイントみたいなのが分かりやすくあったりしがちだと思うんです。が、本作は全くそんなことなくて、真摯に事実と向き合い、非常に丁寧にストーリーが紡がれていて、いつの間にか、つらーっと涙が頬を伝うような珠玉の1本となっています。

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映画はまず、スラム街で家族と暮している5歳のサルーを丁寧に描きます。予告編を見ている時は、まさかこの部分がこんなに丁寧に描写されるとは思いもしませんでした。この作戦は、作り手側の大勝利だと思います。汽車に飛び乗り、石炭を盗む兄弟。その石炭を少しの牛乳にかえ、家族みんなで飲む。貧しいけれど笑顔の絶えない彼らの生活は、見ていて微笑ましくなります。そんな中、あることがきっかけで5歳のサルーは、インドの見知らぬ街で迷子になってしまいます。兄や母の名を懸命に叫ぶサルーですが、声は届きません。何度も危ない目に遭うサルー。手に汗握る展開が続きます。この少年期のシーンのストーリーとシーンの紡がれ方が本当に見事で、映画にぐいぐい引き込まれます。音楽も暗くて張りつめていて、緊張感が切れません。自分もサルーと一緒に迷子になっているかのような錯覚に陥るほどです。

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そんな中、孤児院に入れられたサルーは、幸運にもオーストラリアの夫婦に養子として引き取られます。ここで育ての親を演じるのが、デヴィッド・ウェンハムと、ニコール・ キッドマンなんですが、この2人の演技が本当に素晴らしかった。2人とも、とにかく無償の愛をささげてくれる感がすごいんです。息の詰まる地獄のような町から抜け出したサルーが温かい2人と出会い、一緒に暮らしていくシーンは、見ていて涙が止まりません。

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 そしてここから時代は25年トリップして、デヴ・パテル演じるサルーが登場します。料理で出てきた揚げ菓子によって幼い記憶が蘇ったサルーは、Google Earthを使って故郷の街を探し始めます。少しネタバレしちゃうと、意外と故郷はアッサリ思い出して見つかっちゃうんです。でもそこにたどり着くまでの人間ドラマが物凄く丁寧に描かれていて、ニコール・キッドマンとデブ・パテルが涙ながらに語るシーンは胸を打たれます。

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 しかし、やはりこの映画でずば抜けた演技を見せているのは、幼少期のサルーを演じたサニー・パワールくん。どれだけ辛い状況でも涙を流さず、強いまなざしで現実を受け止めるその姿は、決して誰にもできないであろう唯一無二の演技でした。

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そして、なぜ本作のタイトルが「LION」なのか。それが最後の最後に明かされ、Siaの「Never Give Up」が流れ始めます。ここ、思わず声が漏れました。最高のラストです。素晴らしい。監督のガースデイビスは、何と本作がデビュー作。今後の作品が楽しみですね。

実話モノとあなどるなかれ。無駄なく紡がれたシーンの数々と、役者の丁寧な演技が沁み渡る(特に幼少期サルー!)、心洗われる傑作ヒューマンドラマです。是非、劇場で。

 

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スタッフ
監督: ガース・デイヴィス
脚本: ルーク・デイヴィス
キャスト
デヴ・パテル
ルーニー・マーラ
デヴィッド・ウェンハム
ニコール・キッドマン
サニー・パワール

★4.2点

「モアナと伝説の海」を観ました。驚愕の映像美と素晴らしい音楽のアンサンブルで、南国に旅行したような気分になる最高峰のディズニーアニメーション。

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誰よりも海を愛する少女モアナは島の外へ行くことを禁止されていたが、幼少時に海とある出会いを果たしたことで運命が決定する。モアナは愛する者たちの救済のため、命をつかさどる女神テ・フィティの盗まれた心を見つけ出して再び平和な世界を取り戻そうとする。未知の大海原へと向かったモアナは伝説の英雄マウイと出会い、冒険を共にする。(シネマトゥデイより)

 

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驚くべき映像美。生き物のようによりそう海、砂浜に転がる貝殻、風に揺られるモアナの髪の毛。アニメーションの映像美は、ここまできたのかと驚愕しました。素人目に観ても明らかにすごいです。

 

昨年の「アーロと少年」でも、山や川といった自然描写の美しさに驚かされましたが、今作ではそれが何倍にもブラッシュアップされ、永遠に観ていられるほどの美しさとなっています。

 

特に驚かされるのは、海や水の描写です。今作では、海自体が1つのキャラクターとして登場します。全く言葉は発しないのですが、可愛くクネクネ動く様はとても愛らしく、これまでに見たことの無いキャラクターが誕生しています。

 

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海や水をアニメーションで描くことは、非常に難しいそうです。それが今作では間違いなく1つ上のレベルに到達していて、それを観るだけでも価値があります。

 

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そして、個人的に大好きだったシーンが、カカモラ海賊団とのバトルシーン。ここは、完全に「マッド・マックス 怒りのデスロード」です。海賊船が左右に分かれて、モアナたちの舟に乗り込んでくるところなんか興奮しっぱなし。でっかい太鼓で音楽を奏でているところも、まさにマッドマックス。さすがにギター野郎はいませんでしたが。まぁ、あのミニサイズじゃギター弾けないよね。

 

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あとで調べてみたら、製作側も完全に「マッド・マックス 怒りのデスロード」を意識されていたみたいですね。そりゃそうか、まんまですからね。手に汗握りました。そして、カカモラたちが悪党だけど最高に可愛いんですよね。カカモラたちのビジュアル、めちゃめちゃ可愛くて好みです。フィギュアとかほしいです。

 

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そして忘れちゃいけないのが、今作でかかる音楽です。アナ雪の時の音楽フィーバーは言うまでもないですが、今作でも印象的な歌が数多くかかります。「シャイニー」「もっと遠くへ(フィナーレ)」など好きな曲はたくさんありましたが、やっぱり一番好きなのは屋比久知奈さんの「どこまでも ~How Far I'll Go~」ですね。主人公のモアナの声も担当されていますが、のびやかでまっすぐに心に届いてくる歌声は、涙が出るほど素晴らしく、たっぷり元気をもらいます。エンドロールで流れる加藤ミリヤさんの歌よりも断然、屋比久さんの方が好きでしたね。

 

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そもそもマウイが「あれ」を盗まなかったらこんなことにならなかったのに等ストーリーに突っ込みどころは多少あります。ただそれがほとんど気にならないほど、映像の美しさがすごい。観終わった後には、水、深海、南国、人物、などの映像の美しさと素晴らしい音楽のアンサンブルによって、南国に旅行したような気分になると思います。

 

親子、友達、恋人、1人などどんな形でも観に行くことのできる世界最高峰のアニメーション映画です。

やっぱりディズニーアニメーションは、すごい。

 

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監督

ロン・クレメンツ
ジョン・マスカー

 

声の出演(吹き替え)

屋比久知奈
竹野谷咲
尾上松也

夏木マリ

 

★3.9点

 

「ラ・ラ・ランド」を観ました。なつかしいのに、あたらしい。劇映画とミュージカルの間を絶妙に表現した至極のラブストーリー。とにかく劇場で観てください!

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何度もオーディションに落ちてすっかりへこんでいた女優志望の卵ミア(エマ・ストーン)は、ピアノの音色に導かれるようにジャズバーに入 る。そこ でピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会うが、そのいきさつは最悪なものだった。ある日、ミアはプールサイドで不機嫌そうに 1980年代のポップスを演奏をするセバスチャンと再会し……。(シネマトゥデイより)

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映画史に残るラスト、とはまさにこのこと。最高すぎて、とにかく観て!としか言えません。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、ラストの構成を思い付いた監督は、まさに天才的。このラストは、絶対に映画でしかできません。映画でしかできないミュージカル。それを作り出したディミアン・チャゼル監督の手腕には本当に脱帽です。

 

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好きな方には大変申し訳ないのですが、自分はミュージカルが苦手です。 舞台も含め、見ている間に寝てしまうこともしばしばあります。「レ・ミゼラブル」は、正直ほんとにキツかった。なぜ苦手かというと、 あまりに非現実的すぎるからなのかもしれません。各々が歌いながらセリフを言っているのとかを見ると、いやそんな歌って物事伝えるより ちゃんと喋った方が伝わるんじゃない? とか本気で思っちゃうし、え、なんで突然踊り出すの?とか、あまりに現実とかけ離れすぎていて、全く感情移入ができなくなってしまうんですよね。特にセリフを歌にのせて言われるのが苦手なのかもしれません。ラストにみんなで歌って踊るー!とかは結構好きなんですけどね。「天使にラブ ソングを」とか「座頭市」のラストとか。セリフを言うのか歌うのか、どっちかにしてほしいわけです。なので、本作を観る前は、これ大丈夫かなと心配していたんですが、どっこい最高すぎて驚愕しました。

 

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色んな方がおっしゃっていますが、本作はいわゆる「ミュージカル映画」ではないと思います。過去のミュージカル映画へのオマージュもたくさん忍ばせていながら、新しいことに数々挑戦している。どなたかも評されていましたが、「なつかしいのに、あたらしい」。まさにこの通りです。観ていると、「あれこの映画っていつの時代が舞台だっけ?」という錯覚に陥る時が何度かあります。スマホが出てきたり、車が出てきたりで、あ今だ、となるんですが、衣装や音楽、風景を見ているとどこか昔の時代の空気も漂っている。ここが本当にすごいです ね。いろんなアイテムや服の色合いもすごくカラフルで、スクリーンが色んな色で埋め尽くされます。

 

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車が渋滞する高速道路でみんなが歌い踊り出すオープニングも圧巻です。歌と踊りのシーンはすべてがワンカットに見えるような(ほぼほぼ実際ワンカットで撮っている?)映され方で撮影されていて、流麗なカメラワークにうっとりすること間違いなしです。また歌って踊ることが超得意なミュージカル役者を使わずに、俳優として評価 されているライアン・ゴズリングエマ・ストーンを主役にすえたところもこの映画の成功ポイントだと思います。踊り出したり、歌い出すまでの流れが本当にこの映画は自然 なんですよね。全く違和感を感じない。もはやミュージカル映画ではなく、れっきとした劇映画だとも言えるかもしれません。もちろん歌っ て、踊るんですが!

 

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あと細かいところですが、ジャズが嫌いだというミアを、セバスチャンがジャズバーに連れて行き、いかにジャズがすごいものかを語るシーン。このシーンほんと大好きでした。そのあとジャズに全く興味がなかったミアがどんどんジャズにはまっていって…というストーリーには感動すら覚えます。好きなものについて心から熱く語って、それが相手に伝わって、相手も好きになって…とい う、もうこの流れ最高ですよね。

 

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「セッション」でもそうでしたがとにかくこの監督の作る映画は熱い!熱量がすごい。ミュージカル映画ってこんなに素晴らしいんだよ!まさにジャズを熱く語っているセバスチャンが、監督そのものなんじゃないかとすら思えます。若干32歳、今後どんな名作を誕生させるのか期待しかありませんね。

 

そして「セッション」同様、ほぼ2人のメインキャストだけで見せきるのもすごい。この2人以外、あと誰が出ていたかあまり覚えていません。あ、でもジョン・レジェンドはめちゃくちゃ良かったです。

 

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日本のポスターのキャッチコピーにも観終わってから震えました。「夢をみていた」ってそういうことなのね!あー、つながった。ほんとにラストよかったなぁ…。ラストだけ観てもダメなんですよね、ほんとに。それまで観てきてるからこそ来るものがあるというか、あーもうほんとに観てくださいとしか言えない。

 

「セッション」に引き続き、人生の1本になること間違いなしの大傑作。

 

劇場で見なければ、絶対に後悔すると思います。是非、劇場でご覧ください。

 

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監督
デイミアン・チャゼル

キャスト
ライアン・ゴズリング
エマ・ストーン
キャリー・ヘルナンデス
ジェシカ・ローゼンバーグ
ソノヤ・ミズノ

★5.0(満点)

「最後の追跡」を観ました。緊張と緩和の連鎖が最高!情報過多作品が流行りの映画界にガツンと一石を投じる、傑作クライムサスペンス。

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舞台はテキサス。両親の農場が差し押さえられるのを防ごうと、タナー(ベン・フォスター)とトビー(クリス・パイン)の兄弟は銀行強盗を計画。むやみに血を流さないよう慎重に進めるが、出所したばかりのタナーの無鉄砲な行動のせいで計画に狂いが生じてしまう。一方、定年が近いテキサス・レ ンジャーのマーカス(ジェフ・ブリッジス)は、相棒のアルバート(ギル・バーミンガム)と一緒に捜査に乗り出す。(シネマトゥデイより)

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この作品、ほんとうに面白いです。今年のアカデミー作品賞にさらっとノミネートされていたので何となく見始めましたが、ぐいぐい見入り、特に後半は時間を忘れるほどのめり込んで見てしまいました。とにかく、すべてのシーン・セリフが洗練されていて無駄がない。テキサスという何とも言えない田舎街の淀んだ空気感、どこかドロっとして汚い役者たちの素晴らしい演技、なめるようなカメラワークと、見事に言葉が紡がれている最高の脚本。すべてのバランスが絶妙で、一時も見逃せません。本年度のアカデミー賞で作品賞、脚本賞助演男優賞(ジェフ・ブリッジス)にノミネートされているのも頷ける1作です。

 

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追う者、追われる者という構図でストーリーは進んでいきますが、キャラクターたちがすごく魅力的で、憎めないやつばかり。追う者を演じるのは、ジェフ・ブリッジスとギル・バーミンガム。定年間近の警官マーカスと、その相棒のアルバートの喧嘩のようなやり取りは、人種差別の嫌味も言いながら、どこか親子のようなコンビネーションで、映画に良いアクセントを与えています。特段、ジェフ・ブリッジスの円熟の効いた演技は本当にお見事でした。アカデミー賞助演男優賞ノミネートも納得です。

 

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一方、追われる者を演じているベン・フォスタークリス・パインも素晴らしい。暴走しがちな兄・タナーと、計画的で慎重派の弟・トビーのバランスが絶妙で、こちらも本当の兄弟に見えました。

 

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そしてストーリーの組み立てや、何より緩急のバランスも、非常に素晴らしいです。冒頭ワンカットで始まる銀行強盗シーンでグッと引きつけられたかと思いきや、警官同士のオフビートな会話で気が緩む。緊張と緩和が連続するストーリーは見ていて全く飽きず、ラスト十分にためてからの緊張シーンの連続にはすさまじく興奮しました。

 

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あと全編を通して、映像の色合いがカラッとしていたからか、見ていてすごく喉が渇きました。飲み物を飲めばいいじゃないかという話なんですが、飲み物を飲むのも忘れて、のめり込んで見てしまうんですよね。また、じっくりと映像を見せてくれるネチッとしたカメラワークも非常に好きでした。

 

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この作品は、「Netflixオリジナル作品」であり、日本では劇場公開されていません。日本では、恐らくNetflixでの配信のみです。今後劇場公開されるかどうかは分かりませんが、是非劇場でも見てみたいですね。アメリカでは2016年に公開され、そのあと数か月後にNetflixで配信されているようです。アカデミー賞ノミネート作品をネットでいつでも見れるチャンスですので、是非ご覧ください!

 

でも、ちょっとこのポスターはださくないか?笑



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監督
デビッド・マッケンジー

キャスト
ジェフ・ブリッジス
クリス・パイン
ベン・フォスター
ジル・バーミンガム
マリン・アイルランド


★4.6点

「ローグ・ワン」を観ました。とにかく泣けて仕方ない。縁の下の力持ちを描いたSW版「サムライ」映画。スピンオフとはこう作るのだ。

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帝国軍の誇る究極兵器デス・スターによって、銀河は混乱と恐怖にさらされていた。窃盗、暴行、書類偽造などの悪事を重ねてきたジン(フェリシティ・ジョーンズ)は反乱軍に加わり、あるミッションを下される。それはデス・スターの設計図を奪うという、困難かつ無謀なものであった。彼女を筆頭に、キャシアン(ディエゴ・ルナ)、チアルート(ドニー・イェン)、ベイズチアン・ウェン)、ボーティー(リズ・アーメッド)といったメンバーで極秘部隊ローグ・ワンが結成され、ミッションが始動するが……。(シネマトゥデイより)

 

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これぞ、スピンオフ。まさに、スピンオフの教科書のような作品が誕生しました。いやというか、もはや本家のシリーズを食ってしまっている。エピソードⅣを何倍も面白くした作品と言われてますが、まさにその通り。この作品、面白すぎます。作品への愛が止まりません。言葉にするのが難しいのですが、本作はスターウォーズを心の底からから愛している人が作ったスピンオフだということが、見ていてすごく伝わってきます。随所にSW愛が溢れていて、展開がエモすぎて…もう泣いた泣いた。涙枯れるほど泣きました。スターウォーズシリーズ史上、最も泣けるんじゃないでしょうか。とにかく涙が止まりませんでした。

 

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本作は、スターウォーズのエピソードⅣ(旧3部作の1作目)の直前までのエピソードを描いています。エピソードⅣは、ルークやレイア姫の反乱軍が、設計図をもとに帝国軍の要塞「デス・スター」をぶっ潰す、というまぁざっくり言えばその様なストーリーなんですが、その前段階で実は「デス・スター」の設計図を盗み出すために暗躍したチームがいたんですよね。それが、「ローグ・ワン」というチームです。彼らの活躍が無ければ、ルークたちがデス・スターを破壊することは出来なかった訳です。では、彼らはどうやって「デス・スター」の設計図を盗み出したのか。本作で描かれるのは、そこの話です。正直、本作を見る前にエピソードⅣの鑑賞は「絶対条件」だと思います。本作単体でもストーリーは追えますし、十分面白いです。が、それでは絶対だめだ!と声を大にして言えるほど、エピソードⅣに見事なまでに話が繋がっていて、ハッキリ言って観てる・観てないで感動が10倍くらい変わると思います。なんてったって、エピソードⅣのまさに直前、10分前くらいまでを描いているんですから。

 

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正直、前半・中盤はゆったりしていて暗くて、面白いけど少し物足りなさを感じました。ですが、ラストの南国のような星・スカリフでの大合戦は、終始、口あんぐり状態。あまりにも素晴らしくて、見ていて息ができなくなるくらいすごかったです。SW史上最も美しい星なんじゃないかと思うほど綺麗な星で、地図を手に入れるためにキャラクターたちが文字通り命を懸けて戦い、一人、また一人と死んでいく。とにかく次から次へと障害が襲ってきて、全然上手くいかない。首の皮1枚つながった!が、もうリアルに50回くらい続いて、安堵、ピンチ、安堵、ピンチの応酬です。最後の最後まで安堵できず、ああああがんばれええええっ、で、ああああ、で、うぎゃーーーーーベイダーやばああああああ!!!!、で、おっしゃーーー!!!!、で、エンドロールという感じです。乱文すみません。ラストの編集、脚本は本当に見事としか言いようがないですね。また、クレニック提督のエピソードなど、まさかの帝国軍側にもエモポイントがあるという憎さも素晴らしいです。

 

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そして、登場するキャラクターもすごく魅力的でした。主人公のジンやキャシアンはもちろん、K-2SOも可愛いし、ゲイレンを演じたマッツミケルセンも見事にハマっていました。でも個人的に一番好きだったのは、チアルートとベイズのコンビですね。このコンビは最高で、もうラストのところは涙がとまりませんでした。盲目のチアルートを演じたドニーイェンは本当によかったですね。ジェダイではないながらもフォースを信じ続けるその真っ直ぐな姿勢に、何度も胸打たれました。あと、宇宙で反乱軍の指揮をとった血が上りやすいラダス提督も好きでしたね。男前でした。

 

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エピソードⅣでのデス・スター破壊は、ルークたちももちろんかなり苦労するんですが、思いのほか、最後はあっけなく一撃で爆発するんですよね。でも、これ実は、、、という、ここにまさかの主人公ジンとその父親ゲイレンのエピソードが絡んでくるんですね。これには正直、めちゃくちゃ驚かされました。これがあったから、こんなに簡単に爆発したのか!と、そこでも親子愛に号泣しました。この何年越しかの伏線回収は、ワンピースのラブーンのエピソードくらいの大掛かりじゃないでしょうか。いやそれ以上か。それくらい素晴らしかった。この記事を書きながら、本作のシーンたちを思い出して、また泣きそうになりました。

 

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縁の下の力持ちを描いた見事なSW版「サムライ」映画。残念ながら、劇場公開は昨日で一斉に終わってしまいました。あぁー、もう一回観たい。



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監督
ギャレス・エドワーズ
脚本
クリス・ワイツ / トニー・ギルロイ
音楽
マイケル・ジアッキーノ
キャスト
フェリシティ・ジョーンズ
ディエゴ・ルナ
ドニー・イェン
ベン・メンデルソーン
マッツ・ミケルセン
アラン・テュディック
フォレスト・ウィテカー
リズ・アーメッド
チアン・ウェン


★4.9点

TOYOTAのCM「Loving Eyes -Toyota Safety Sense」

 

ボケーっとYouTubeを見ていた時に流れてきたのが、このTOYOTAのCMでした。はじめは良くありそうな親子の感動的なCMかなぁ、と何気なく見ていたのですが、後半で「そう来たか!」と、ついうなってしまう素晴らしいCMでした。

 

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CMの初め、「Father’s view」という文字が出てきます。あぁ、なるほど、父親の視点で子供の成長を見ていく感動的なCMなんだなぁ、という感じで見進めていきます。

 

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後部座席に座る子供をミラー越しに見たり、試合に負けて悔しがる娘の涙を拭いてあげたり、車でひげを剃っているところを疎ましそうに見られたり…。

 

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自分は、子供はもちろん結婚もしていないので、正直父親の部分に何の「あるある」も感じませんが、子供だった経験はあるので、親が子供の成長を見つめる姿にはとても感動します。

 

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そして最後は、結婚式。あー良かったなぁ…、と思ってCMが終わるかと思いきや、ここで終わらないのがこのCMのミソ。

 

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次に出てくるのが、「Daughter’s view」の文字。そう何と後半は、前半の父親視点のシーンを娘の視点で展開していくんです。これには、なるほどーそう来たか、とCMの構成に感動しました。この構成、ありそうで無かったような気がするんですよね。

 

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視点を変えると、同じシーンでも全然違って見えてきます。こうやって各シーンを見ていると、父親は常に笑顔ですよね。決して怒らず、見守っている。

 

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この父親の姿がほんとうに感動的ですごく沁みました。素直に自分もこんな父親になりたいな、と思いました。

 

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 CMのラスト、このような文字が出ます。

 

「愛とは、見えないところで見守ること」

 

あー、いい言葉です。

 

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年を重ねるたびに見返したくなるような沁みるCMです。

 

 

 

「沈黙 -サイレンス-」を観ました。人間は、みんな何かを信じたい。

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江戸幕府によるキリシタン弾圧が激しさを増していた17世紀。長崎で宣教師のフェレイラ(リーアム・ニーソン)が捕まって棄教したとの知らせを受 けた彼の弟子ロドリゴアンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライヴァー)は、キチジロー(窪塚洋介)の協力で日本に潜入する。そ の後彼らは、隠れキリシタンと呼ばれる人々と出会い……。(シネマトゥデイより)

 

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みんな、沈黙している。神に祈り、沈黙する。どれだけ拷問を受けようが、声を荒げることはない。耐えて、神を信じ、祈り続ける。風や鳥のさえずりが聞こえ、そのボリュームがどんどん大きくなり、突如包み込む静寂。「ゼロ・グラビティ」を彷彿させるようなオープニングで、一気に心を掴まれます。

 

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物語の舞台は、江戸時代初期、幕府による激しいキリシタン弾圧下にあった日本・長崎。歴史の授業で踏絵や天草四郎などのワードは聞いたことがありましたが、弾圧のやり方がここまで厳しく、ネチネチしたいやらしいやり方だったとは思いもしませんでした。踏絵などは優しい方で、聖母にツバを吐き掛けさせたり、暴言を吐かせたり、見ていて気分が悪くなりました。しかし、鎖国中の当時の日本人にとってはキリスト教自体が気持ち悪く見えたのだろうし、何としても排除したかったのだろうなぁと、何となく複雑な想いになりました。

 

棄教することを劇中では、「転ぶ」と表現しています。転ばない者に対しては、徹底的に転ぶまで拷問します。そのやり方は、本当にいやらしく、狡猾です。極寒の海に立てた十字架に張り付けにしたり、 熱い湯を少量ずつかけてひどくやけどをさせたり、穴を掘りそこに逆さに宙づりにして血がのぼってすぐに死なないよう頭に切り傷を付けておいた り…。とにかくじわじわ静かに拷問していく。これが本当にいやらしい。そして、そのやり方はどこか日本らしい。スコッセッシの撮り方の影響ももちろんありますが、その描写に美しさすら感じてしまいました(もちろん不快極まりないんですが)。

 

転ぶか、死ぬか。その2択を迫られたキリシタンは、ロドリゴたちの前でどんどん死んでいきます。その中でも塚本晋也監督の演技は、圧巻でした。波が押し寄せる極寒の海で、十字架にはりつけにされ死んでいく姿は、今でも頭から離れません。そして、ロドリゴキリシタンをひどい目に合わせる井上筑後守を演じたイッセー尾形も、 素晴らしい演技でした。鎖国時代の日本の閉鎖的な空気感を、ネチネチした喋り方と飄々とした演技で見事に表現されていて、1人だけ存在感が異常でした。

 

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また、17世紀の話ですが時代劇っぽい古臭さは全くなく、現代劇を見ているような感覚も少しありました。

 

正直映画の根っこの部分である「信仰」については、知識もないためコメントは難しいです。ただ「人間は、みんな何かを信じたい」ということが、この映画を観ているとすごく伝わってきます。この映画を観終わった後に頭に浮かぶのは、キリスト教でも、宣教師でもなく、自分が信じているもの。信じたいもの。それを見知らぬ誰かに、「信じるな」と弾圧され、それを足で踏み、ツバを吐き、信じることをやめろ、と命令される。そんな腹立たしいことが、この日本で起こっていたんです。当時の人は、「死」をもってしてまで自分が信じているということを証明した。文字通り、「沈黙」することで証明した。自分は信じるもののために死ねるだろうか。そんなことをモヤモヤ考えさせられました。

 

全くダレることのない、緊張感が張り詰める162分。劇場でのご鑑賞をオススメします。

 

 

 

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監督
マーティン・スコセッシ

キャスト
アンドリュー・ガーフィールド
アダム・ドライバー
浅野忠信
リーアム・ニーソン


★4.0点